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皮膚病のトピック

千葉県皮膚科医会「皮膚病のトピック:皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)」のページです。
専門家による皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)のトピックをご紹介します。

皮脂欠乏性湿疹(乾燥性湿疹)

秋から春先にかけては空気が乾燥し、風邪をひきやすい季節となりますが、皮膚もこの時期は乾燥によるかゆみが出やすくなります。

どんな人がなりやすい?
アトピー性皮膚炎でなくても、老化現象として40代以上の人や、皮脂分泌の少ない幼稚園児、空調がきいたオフィスに一日中いる方などがおきやすいです。
あと、普段全く運動をしない人は、汗をかきづらく乾燥しやすいといわれています。
どんな症状?
皮膚は乾燥し、粉を噴いたような状態になり、夜布団に入って体が温まってくるとかゆくなってきます。全身、特にすね、腰回り、背中などかゆくなりやすいです。かくと気持ちいいのですが、かけばかくほど皮膚は傷つき悪くなります。そのうち、貨幣状湿疹といって、コインの形のように丸く汁が出る湿疹になってしまうと、全身がかゆくなる状態へ進行しやすくなりますので、早めの治療が必要です。
治療は?
皮膚の乾燥状態を改善し、炎症をおさめればよくなります。体質改善して完治させるという方法はありませんので、冬の間は根気よく続けることです。
まずは乾燥している肌全体に保湿クリームや、乳液などをぬります。病院でも処方できますが、お薬ではありませんので、市販でも同様な保湿剤は買えます。
次に、かゆいところに病院でもらったステロイド軟膏を1日2回塗って下さい。
外用薬が効いてくるには、3日から1週間はかかりますので、かゆみが強くてかいてしまいそうな方は飲み薬も併用するといいでしょう。
外用薬のポイント
外用薬は塗る回数と、塗る量が適切でないと効果ありません。
大抵の方は、時間がないといって夜しか塗らないようですが、それで効いている人はいいと思いますが、朝と夜の2回塗った方が有効です。特にぬるめの湯船に5分以上つかることで皮膚をしめらせたあとで、ただちに保湿剤をぬってもらうと、入浴後30分たってから保湿剤を塗った人に比べて長時間しっとりします。塗る量は真珠玉程度の量で手のひら2枚分といいますが、実際には軟膏なら塗ったあとに肌が光ってみえる程度、クリームならティッシュがくっつく程度が理想です。
日常生活の注意は?
  • 皮膚のあぶら分や水分が足りないからといって、脂っこいものを多く食べても良くなりません。
  • 入浴の時、石鹸をつけたタオルでごしごし洗うとその時は気持ちいいのですが、皮脂が沢山おちてしまい悪化します。乾燥肌用の石鹸を使ったり、使う回数を週に1回程度に減らしたり、タオルを使わないことです。
  • 皮膚の乾燥を助長する過度の暖房、寒風に肌をさらすことはやめましょう。
  • 日頃から適度な運動をして汗をかきやすいようにするといいようですが、かいた汗を放置するとかゆくなってしまいますので、その時はふく必要があります。(渡邊彰浩)