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皮膚病のトピック

千葉県皮膚科医会「皮膚病のトピック:粉瘤について」のページです。
専門家による粉瘤についてのトピックをご紹介します。

粉瘤について

2年前から肩に痛くないしこりができて少しずつ大きくなってきました。
つまむと真ん中の小さな穴から時々クリーム色の臭い脂が出ていました。
次第に穴が詰まって黒くなってきました。これは何ですか?
粉瘤
粉瘤
それは粉瘤(アテローム)というできものです。クリーム色の臭い脂は垢のかたまりです。
原因はいろいろな場合がありますが、傷や毛穴が詰まったりして皮膚の一番外側の細胞(表皮細胞)が皮膚の中に入り込み、その中に本来ならはがれ落ちてなくなるはずの細胞が垢となり、たまって袋状になっているのです。
放っておくとどうなるのですか?
大きさが変わらず何年も自覚症状がないこともありますが、次第に大きくなると、炎症が生じて赤く腫れ上がり、化膿して強い痛みを生じることがあります。
どうしてそうなるのですか?
炎症性粉瘤
炎症性粉瘤
クリーム色の臭い脂が出てくる小さい穴は皮膚の外側と通じています。この穴を通じて細菌が入ってくるので袋の中の垢のかたまりが大きくなって袋が破けると炎症を生じ、化膿するのです。このような状態を炎症性粉瘤といいます。
粉瘤の治療はどうするのですか?
炎症がない場合は、手術で袋ごと取り除くのがよいと思います。放置しておくと炎症性粉瘤になることがあるのでそうなる前に取り除いた方がよいのです。炎症が生じ化膿している場合は、皮膚を切開して中の膿と垢のかたまりを出す必要があります。その際、感染・炎症を抑える抗生物質の投与も必要です。
気をつけなければならないことはありますか?
切開して中身を出す際に粉瘤の袋を完全に取り除くことができれば再発せずに治りますが、炎症性粉瘤の場合、炎症が治まるのを待ってから袋を取り除かないと再発することがあります。まためったにありませんが、炎症を繰り返すと粉瘤の袋の壁から皮膚癌が発生することがあります。粉瘤が大きくなってからあるいは炎症性粉瘤になってから取り除くのは、治療に手間と時間がかかりますし、傷跡も目立ちやすくなります。粉瘤があるのに気づいたら、いじらないで早めに受診しましょう。(岡本 潔)